定年退職の時期が遠からず見えているミドルシニア世代にとって、現状を維持して定年退職まで務めるのか、現状を変えるため早期退職制度を利用して、新たな環境で挑戦するのかを選択する時があるのではないでしょうか?
現在のキャリアを維持して将来の計画をきちんと立てられる方は、あまり考えることもないでしょう。
しかし、将来の計画をきちんと立てられる方の中にも、さらなるステップアップに挑戦したいと思っている方もいるでしょう。
逆に自分の思っていたキャリアを維持できていなかったり、自分の将来に不安がある方などは定年より前に退職することを選択する方もいらっしゃると思います。
この記事では、早期退職はどういった制度なのか?早期退職する場合のメリット,デメリットはなにか?
また、早期退職を選択した場合に失敗しないよう準備するべきことをまとめました。
- 早期退職の制度は企業によって違い、選択定年制、早期退職者募集、役職定年などがある
- 早期退職のメリットは、割増し退職金を受け取れることや新たな挑戦ができることである
- 早期退職のデメリットは、定期収入がなくなることや転職先が見つからない可能性があることである
- 早期退職に失敗しないためには、退職後の生活プランを明確に立てることや早めの転職準備をすることが重要である
早期退職すると退職金が割増しされる
「早期退職」とは、会社の就業規則などで定められている定年退職の期限より前に、就業規則などで定める条件に当てはまる人が退職することで、会社都合の退職扱いとなり支払われる退職金が優遇される制度のことです。
経営不振などを理由に、人件費削減や組織の活性化などを目的として、早期退職者を募集する場合もあります。
早期退職の対象となる年齢は、40後半~50代です。
早期退職は自ら選択できますが、自己都合の退職とは違い、会社都合による退職の取り扱いとなるのが一般的です。
そのため退職金は、自己都合退職では満額から減額されますが、早期退職では満額に割増しされるのが一般的です。
私は、現在57歳で中小企業に勤めていますが、60歳の定年まで勤めて支払われる退職金は、1,500~1,600万円程度。
早期退職すると2,000~2,100万円程度と定年退職時点の退職金より500~600万円の割増しで退職金を受け取ることができる計算です。
早期退職の制度は企業によって違う
早期退職の制度は、運用する企業によって形が違います。
企業によって変わりますが、早期退職の制度については「選択定年制」を採用していたり、会社の経営状態などにより退職者を募る臨時の「早期退職者募集」や、今までの役職を解かれる「役職定年」を採用している企業もあります。
選択定年制
「選択定年制」は定年前の例えば、45歳,50歳,55歳などの切りのいい年齢を定めその年齢に達すると、早期退職をするか継続して働くかを自分の意思で選べる制度です。
2013年4月に「改正高年齢者雇用安定法」が施行されたことにより、社員を65歳まで雇用することを義務付けられ雇用期間が延長されましたが、逆に労働者の意思で早期でも定年のタイミングを決められるという制度です。
一般的に、企業の定めた選択定年の年齢に達したときに退職を選択すると、退職金の優遇措置が受けられます。
経営状況が理由で臨時に早期退職者募集が行われることもある
経営状況の悪化などにより人件費削減や組織体制の見直しを目的に、早期退職者を募集することがあります。
この制度の場合も、退職金は割増しになり優遇を受けることが一般的で、特に会社都合が強いため割増額は、選択定年制よりも多く提示されることもあるかもしれません。
ただし、経営状況を回復させるための退職希望人数が予定人数に届かない場合などは、解雇に近い形の処置がとられる場合もあります。
役職定年
「役職定年」とは、会社が定めた時期に部長や課長などの役職者がその任を解かれ業務が軽減される代わりに給与も下がる仕組みです。
役職定年は、実際には継続して就業することが可能なので「早期退職」とは異なりますが、役職定年後一定期間で退職すると退職金が割増しになるように定めている企業もあります。
私の場合も、役職定年を迎えたことで給与は下がり、役職はついているものの部下はいなくなり、様々なプロジェクトへの参画もなくなりました。
定年退職までの期間の数年間、仕事へのモチベーションを維持することが難しいと思い、転職活動を始めました。
私は役職定年になり、仕事は軽くなりましたが、まだまだいろいろなことに挑戦したいという思いが強く、新しい環境を探しています。
また、定年までは残り数年ですが、その後再雇用で65歳まで働くことを考えると一刻も早くやりがいのある仕事を見つけなければならないと思っています。
早期退職するメリットとデメリットがある
早期退職を選択する場合、今の状況や退職条件によりますがメリットとデメリットがあります。
早期退職のメリットとして、退職金が優遇され予定より早い時期に大金が手元に入ります。退職金を元に起業することも可能です。
大金が入ることで、住宅ローンなど借金を退職金で完済することが可能になり、新たな生活の出発点なるでしょう。
早期退職のデメリットとしては、退職すると定期収入がなくなるため、退職までに転職先が決まるなど、新たな収入源が見つかり安定するまでは、退職金と貯金を切り崩しながらの生活になる可能性があります。
また、前職では管理職についていたり仕事で実績があっても、すぐに転職先が見つかるとは限りません。
転職先がなかなか見つからず、希望のポストや年収額が得られない可能性もあります。
早期退職に失敗しないために早めの転職準備をする
早期退職を選択する時期が見えてきたら、まず自分の置かれた状況を冷静に判断する必要があります。
退職を選択しなくても問題ない方は、残留したときの年収や仕事のやりがいなどを考えてみましょう。
少しでも早期退職の可能性がある場合は、決断する前から転職先を探し始めることを強くお勧めします。
転職活動には、ある程度時間がかかります。特にミドルシニア世代の方は、実績やスキルが豊富なため自分を求めている会社はたくさんあり、転職先はすぐに見つかると思いがちですが、若い人と比べると入社して以降に働ける年数は短いわりに、それなりの給与も支払わなければなりません。
募集企業は、費用対効果を考えて確実に即戦力になる、ミドルシニア世代しか興味を示さないでしょう。
多くの方は必然的に、年収や働く条件を希望より下げることになるかもしれません。
そのため、希望に合った転職先を見つけるには、退職を決断してからの短い期間で行うのでは遅いので、できるだけ早い時期に転職活動も始め、次が決まった段階で早期退職することを強くお勧めします。
私もまだ転職活動ですが、役職定年になって1年以内に退職することで、退職優待金割増しを受けられるので、役職定年になってすぐに転職活動を始めたのですが、少し遅かったかもしれません。
いまだに転職先が見つからずタイムリミットは残り数ヶ月となってしまっています。
まとめ
- 早期退職の制度は企業によって違い、選択定年制、早期退職者募集、役職定年などがある
- 早期退職のメリットは、割増し退職金を受け取れることや新たな挑戦ができることである
- 早期退職のデメリットは、定期収入がなくなることや転職先が見つからない可能性があることである
- 早期退職に失敗しないためには、退職後の生活プランを明確に立てることや早めの転職準備をすることが重要である
早期退職を決断するうえで最も避けなければならないのは、割増しされた退職金の金額に踊らされたうえ、すべてを楽観的に考えて退職後の明確な計画や貯えがないまま決断してしまうことです。
割増しされた退職金を、起業や投資の資金に充てようとする人も多いのですが、充分な知識がないまま飛び込んでしまうと後悔することになりかねません。
結果として、退職金を切り崩し最後には使い切ってしまう恐れさえあります。
退職後の生活プランを明確に立てることが重要です。
早期退職で失敗しないためには、まずは必要な生活費と収入を算出しその後の人生がマイナス収支に陥らないことを確認した上で決断をすることが大切です。
長く務めた会社を退職することは、大変な勇気と決断が必要ですが、それが本当に自分や家族にとって正解なのか冷静に分析して後悔のない選択をしましょう。
今の時代は、65歳までは確実に働かなければなりませんが、すぐに70歳まで働かなければならない時代が来ます。ミドルシニア世代でも少なくともあと10~20年は働くことになるのですから。
最後まで、お読みいただきましてありがとうございました。まだまだ働かなければならないミドルシニアの方の参考になれば幸いです。
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